昭和・平成・令和・その時代によってAVの形も変わっていく
AVの主流はDVDからインターネット配信へと変わってますが、それ以前にもメディア(入れ物)は移り変わってきているのです。そんな歴史を見てみましょう。
昔のエロは映画と同様フィルムで撮影されていた
アダルトメディアを代表する存在であるAV=アダルトビデオですが、その誕生は1981年だと言われています。
しかし、それ以前には映画と同様のフィルムで撮影された成人向け映画が多くの男性たちを興奮させていたのでした。
その起源は、なんと大正時代にまで遡ります。海外で撮影された無修正(モザイクなし)のポルノ映画が日本にも、こっそり輸入されていたのです。そして昭和初期には日本でも作られ始めていたといいます。
こうした無修正のポルノ映画は「ブルーフィルム」と呼ばれ、1950年代半ばから1960年代前半くらいをピークに盛り上がりました。
無修正ということで、当然違法なのですが、当時は秘密上映会などで、楽しまれていたようです。
60年代になると、映画館で上映される映画の中でもヌードやセックスなどのシーンが多い作品が増加し、それは成人映画、ピンク映画などと呼ばれるようになります。
中でも、それまで東映や東宝に並ぶ大手映画会社であった日活(にっかつ)が手掛けた日活ロマンポルノは大人気となりました。
ロマンポルノ女優は今のAV女優のように雑誌のグラビアやテレビ番組などでも引っ張りだこでしたし、アイドルや芸能人などが日活ロマンポルノに出演することもありました。これなどは、現在の芸能人AVの走りだと言えるかもしれませんね。
石田えりさん・高橋ひとみさん・美保純さんなどは、令和になった現在でも現役女優としてテレビ、映画で活躍されています。
AVはビデオテープだった
80年代になると、AV=アダルトビデオが誕生。それまでは映画館などで大勢の観客と一緒に見なければならなかった成人映画(ポルノ映画)と違って、自宅でこっそりと楽しむことができると、AVビデオはたちまち人気を集めました。
この頃のAVはVHSやベータ(SONY)という方式のビデオカセットテープに収録され、レンタルビデオ店で借りてみるのが普通でした。
買おうとしても一本が1万円以上と高価だったので、お気に入りのAV作品があっても手元においておくのは難しかったのです。
90年代後半になると、販売用のAV(セルビデオ)が少しづつ増えていきました。この頃は、販売用のAVを作っていたのは、小規模なAVメーカーが多かったので、インディーズビデオなどと呼ばれていました。
00年代になると、こうしたインディーズAVメーカーが、それまでのレンタルビデオ中心の大手AVメーカーと人気が逆転していくのですが、現在AVの大手メーカーであるソフト・オン・デマンド(SOD)やムーディーズ・エスワン(S1)なども、この頃はインディーズAVメーカーと呼ばれていたのです。
次々と移り変わっていく「主役」
1996年に、早くもアダルトDVDは作られていましたが、本格的にリリースされるようになったのは00年代に入ってからです。
小さくて高画質、そして長時間収録できるDVDは次第に普及し、そしてVHSは姿を消していくことになります(ベータは、もっと前から無くなっています)。
無くなったメディアとしては、他にレーザーディスクというものもありました。LPレコードと同じ大きさでVHSよりも高画質ということで、画質にこだわる人中心に80年代にはかなり人気があったのですが、よりコンパクトでより高画質のDVDが登場すると、その座を奪われてしまいます。
DVDは今でも、AVのメディア(入れ物)として活躍中ですが、2010年代に入ると、インターネット配信が急激に勢いを増していきました。
これはスマートフォンの普及により、テレビやパソコンの画面ではなく、スマホでAVを見るということが一般化していったことが大きいでしょう。
今後の主流はインターネット配信だが……
2016年頃から、少しずつ普及しているのがVR(バーチャルリアリティ)のAV作品です。
頭にかぶるゴーグルのようなヘッドマウントディスプレイで見る映像ですが、立体だったり視点を自由に変えられるなど、リアルな臨場感が楽しめます。
VRは基本的にインターネット配信のみなので、これもインターネット配信人気の理由のひとつとなっています。
またAVのサブスクリプション(見放題)サービスも始まっています。
今後、AVの主流はDVDからインターネット配信になっていくことは間違いないでしょう。
しかし、それもまたいつかは全く新しいメディアにとって変わられるのかもしれません。