メーカーと専属契約を結ぶ単体AV女優
一般的にAV女優と言った時にイメージされるのが、単体女優でしょう。いわゆるAVアイドルといった場合は、単体女優を指すのが普通です。
AV黎明期の80年代から90年代では、その子一人で一本の作品を撮れる人気女優という意味で「単体女優」と呼ばれていましたが、現在は特定のメーカーと専属契約を結んでいる女優のことを指すのが普通です。
専属契約とは、そのメーカー以外ではAVに出演しないということ。普通は毎月一本の出演になりますが、ニつのメーカーと契約するダブル専属というパターンもあり、そうした場合は一本づつで毎月ニ本の出演になります。
一本あたりの出演料は100万円前後と、AV女優の中では最も高く、トップクラスの女優になると200万円以上ということもあります。
単体女優の場合、AVは月に一本の撮影のみなので、その他の仕事はイベントや取材などで占められることが多いようです。つまり、AV女優といっても、AV撮影以外の仕事の方が多いのが単体女優なのです。どちらかと言えば、タレントに近い存在なのかもしれません。
出演本数が重要な企画AV女優
その子の名前がパッケージに大きく書かれる単体女優に対して、素人役など名前が表記されることが少ないのが企画女優です。現在一万人以上もいると言われるAV女優ですが、そのうちの9割がこの企画女優なのです。
AVには、女優の魅力で売る単体作品と、企画の面白さで売る企画作品があり、後者に出演するのが企画女優ということになります。
出演料は10万~20万円というところで、単体女優に比べると大幅に少ないのですが、その分拘束時間も短く、1~2時間で終了することもあります。
一本の作品の中に数人出演するのが普通で、企画によってはセックスもなく、フェラチオのみであったりオナニーだけであったり、さらには着衣のままで裸にもならないことすらあるのです。その場合、その分出演料の下がってしまうのですが……。
パッケージなどにも顔が大きく出る単体女優に比べると、顔バレの危険性もかなり少なく、アルバイトと割り切れば最も効率のよい仕事だと言えるでしょう。
一番稼げる?企画単体AV女優
90年代末に企画作品がたくさん制作された頃に、企画女優の中でも人気のあって注目される女優が出てきたことから、単体と企画の間ということで呼ばれるようになったのが「企画単体女優」、通称キカタンです。
00年代初頭にはキカタンブームと呼ばれるほどに一気に人気に火がつきました。
現在ではメーカーと専属契約を結んでいない人気女優というニュアンスで使われることが多いようです。
単体女優に比べれば、一本あたりの出演料は安いのですが、月に一本しか出演できない単体女優とは違い、何本でも出演できるというのが企画単体女優の強み。
人気の企画単体女優ともなれば、月に十本以上の出演も珍しくありません。そうなれば一本の出演料が50万円としても、月に500万円もの収入になります。
人気とやる気があれば、最も稼げるAV女優が、この企画単体女優ということになります。
キカタンは単体AV女優の下なの?
AV業界では、単体女優・企画単体女優・企画女優という順番でランク付けされるヒエラルキーがありました。AV女優の中では単体女優が一番上のランクであるということです。
しかし近年、この意識に変動が起きつつあります。単体女優よりも、企画単体女優の方が人気が高い子が増えているのです。
そうした変動は、キカタンブームが起こった2001年に兆しがありました。当時最も権威のあったAV雑誌『オレンジ通信』の年間AVアイドル賞で、並み居る単体女優を押しのけて、企画単体女優である長瀬愛が受賞したのです。これは事件でした。
それ以降も年間アイドル賞を企画単体女優が受賞することが度々あり、その人気を知らしめたのです。
そしてここ数年でも、スカパー!アダルト放送大賞やDMMアダルトアワード(FANZAアダルトアワード)といったイベントで最優秀女優賞を受賞したのは、成瀬心美、さとう遥希、波多野結衣、上原亜衣、湊莉久、初美沙希、大槻ひびき、AIKAと、企画単体女優の方が圧倒的に多いのです。
今や、キカタンが単体よりも下のランクという印象は古いものとなっているのです。
単体、企画、キカタン、どのAV女優を選ぶ?
単体女優、企画女優(含む企画単体女優)のどちらにもメリット・デメリットがあります。
単体女優は、AV撮影よりもそれ以外の仕事が多く、また顔出しは必須ということが普通なので、どちらかと言えば、タレント志向の強い人に向いているでしょう。
逆にたくさんの作品に出演したい、稼ぎたいということであれば、企画女優の方が向いています。
しかし、単体女優になりたいといっても、専属契約してくれるメーカーがなければなれませんし、企画女優の場合も、仕事がなければ稼ぐこともできません。
また専属契約も年々厳しくなり、以前のように一年、半年という契約から三本のみという契約も増えています。そこで次に契約してくれるメーカーが見つからなければ、企画単体になることになります。
ただし、単体の時には今ひとつ人気がなかったのに、企画単体になった途端に売れっ子になったというケースも多いのです。
さらに企画単体で人気が出たため、専属契約して単体になるということもあります。
今や、単体・企画と分けることは、あまり意味がないのかもしれません。