気軽にはじめられるパーツモデルですが…。
パーツモデルという職業があるのを聞いたことがあるでしょうか?
手や足、髪の毛など、体の一部を専門にしているモデルのことです。「手タレ」(手のタレントの略)などと呼ばれることもあります。
例えば、手タレならスキンクリームや指輪の宣伝写真、髪タレならヘアスタイルの説明写真などで起用されます。
肌の美しさや手足のバランスの美しさなどが必要ではありますが、顔や体型の美しさについては要求されません。
顔や体型にあまり自信がないという人だけではなく、顔を出したくないという人でも出来るのがパーツモデルなのです。
そのため、他のモデルに比べてハードルが低いということで、ちょっとしたお小遣い稼ぎくらいのつもりで応募しようと考える女性も多いようです。
そして、ネットなどを検索すると、たくさんのパーツモデルの募集広告を見つけることができます。
しかし、ちょっと待って下さい。そこにはたくさんの危険な罠が潜んでいるのです。
パーツモデルに応募したはずがAVに
手軽に高収入が稼げるという広告に釣られてパーツモデルの募集に応募した20歳のTさんは、都心のビルにある事務所で面接を受けることになりました。
しかし面接したスタッフは「パーツモデルは仕事が少ない」「AVならもっと稼げるよ」「絶対バレないから大丈夫」とAV女優になることを勧誘して来たのです。
勧誘はしつこく、何時間も帰してもらえず、根負けしたTさんは、しかたなく契約書にサインさせられてしまいました。
もともとAVに出演するつもりのなかったTさんにとっては、撮影はただ辛いだけのものでした。
その後、Tさんは人権団体に相談して、弁護士を紹介してもらい事務所との契約を解除、メーカーとも交渉して出演作品の大半は販売中止となりましたが、今でもネット上には消すことの出来ない情報や画像が残っているといいます。
コスプレ撮影にも潜む罠
コスプレモデルの募集も注意が必要です。
以前から趣味としてコスプレを楽しんでいたFさんは、ネットで「コスプレモデル募集」を見つけ、さっそく応募しました。すぐに返事のメールが届き、地方に住んでいたFさんは指示された通りに写真を送ると、合格の知らせが来ました。
撮影日も決まり、Fさんは上京することになりました。担当はA氏という男性で、上京のための交通費も美容院でのセット費も彼が持ってくれるということでした。
FさんはA氏の事務所へと案内されました。A氏は契約書を読み上げましたが、その最後に「アダルトの撮影がある」とありました。
不信に思ったFさんは聞き返しましたが、A氏は「着衣のままのちょっとした撮影ですよ」とはぐらかし、そして促されるままにFさんは契約書に署名しました。
撮影が始まりました。最初はコスプレでの撮影ですが、続いて下着や露出度の高いマイクロビキニでの撮影を要求されました。
Fさんは断りましたが、A氏に「それなら交通費や美容院代も返してもらわないと」と言われ、仕方なく撮影に応じました。
最後には性行為まで求められて、撮影されてしまいました。
悪質業者かどうかの判断は難しい
近年、AV業界は女性の権利を守ろうという姿勢を強め、出演強要や女性に不利な条件を押し付けるようなことは少なくなっています。
しかし、それでもそうした規制の網をくぐろうとする悪徳業者が、まだいるということは、残念ながら事実です。
こうした業者は、様々な手法を使って、女性を取り込もうとしています。
エサとなる広告を出して、その気のない女性を言葉巧みに勧誘し、半ば強引にAV出演の契約をさせてしまうのです。
Fさんの例のように、最初に交通費などの経費を肩代わりすることで、断りにくくしてしまうというのも、常套手段です。
そして、こうした手法を使っている事務所は当然ながら悪質な業者ですから、例えそのままAVの撮影に応じたとしても、まともにギャラも払おうとはしません。また、違法な撮影などを行うこともあり、モデル自身も犯罪に巻き込まれてしまう可能性もあります。
しかしこうした業者は、言ってみれば「だましのプロ」であり、手口は巧妙です。
一般の人が、その広告を見て、信じてよい業者なのか悪質業者なのかを判断することは難しいでしょう。
少しでも怪しいと感じたらAV業界に内通している信用できる人、信頼できる団体に相談する方がよいでしょう。また、そうした団体が案内してくれる事務所なら、安心できます。
以前に比べれば、かなりクリーンになってきたと言われる業界ですが、まだまだ危険が潜んでいるということは心得ておきましょう。