無修正アダルトビデオ動画の危険性
インターネットを見ていると、無修正アダルトビデオ動画に出会うことも珍しくありません。日本では無修正は法律で禁止されているはずなのに、なぜネットには存在するのでしょうか……?
日本では無修正は違法
日本のAV作品(アダルトビデオ)には性器などにモザイク修正がかけられていますが、その一方で全く無修正の動画がネットには溢れています。中には有名なAV女優が出演している動画もあります。
どうして修正しているものと、修正していないものがあるのでしょうか?
日本には刑法175条によって「わいせつ物頒布等罪」が定められています。これは「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者」を罰する法律なのですが、ここにあげられている「わいせつ」の定義は「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反する」となっています。
つまり、興奮させたり、性的な常識に反するものが「わいせつ」だということです。この基準は時代によって変わって来ていて、例えば90年代までは陰毛を映すことも禁じられていたのです。
そして、性器をそのまま映すことは、今も昔も禁じられています。どうして性器が「わいせつ」とされるのかといった論議は今は避けますが、とにかく日本の法律では成人向けのAV作品であっても、性器を修正なしで映すことは禁じられているのです。
実はAVよりも古い無修正動画
ところが実際には無修正のAVは存在しています。
それこそ戦前や戦後にも「ブルーフィルム」と呼ばれた無修正のポルノ映画が作られ、秘密の上映会などが行われていましたし、無修正のポルノビデオは、なんとAVが生まれる以前から作られてきました。
無修正のポルノビデオは裏ビデオと呼ばれて80年代前半の時点では正規のAV作品以上に人気がありました。そのため当時はAVは裏ビデオと対比する意味で「表ビデオ」などと呼ばれることもあったほどです。
当時の裏ビデオはVHS(もしくはベータ)のビデオカセットで作られ、こっそりと販売されていました。違法の商品だったからです。
AVの修正を入れる前の素材テープが流出して無修正のままで裏ビデオとして販売されることもありました。もちろんこちらも違法です。
ところがインターネットの時代になると、堂々とサイトで無修正動画を販売、配信するサイトが生まれました。
こうしたサイトで販売されている動画は、有名なAV女優も出演していますが、修正前の動画が流出したわけではなく、無修正で販売されることが前提の撮り下ろしAV作品でした。
無修正動画関係者の逮捕が相次ぐ
どうして無修正動画が堂々と販売されているのかと言えば、その会社が海外にあり、海外の人向けに販売しているから、でした。
実際には、サイトも日本語表記ですし、明らかに日本人向けに制作されているのですが、国と国の境界線を簡単に飛び越えるインターネットの世界では、こうした仕組みが通用することになるのです。
00年代から10年代半ばにかけて、海外配信の無修正動画は大きな盛り上がりをみせました。
しかし2011年に刑法175条が改正されたことで、海外から配信したとしても、法律に抵触するようになったのです。
2017年には、無修正動画を配信していた運営会社、撮影した制作会社、そして出演したAV女優やAV男優、AV女優が在籍していたAVプロダクションまでが逮捕されるという事件もありました。
その後も同様の逮捕が続きました。
無修正動画への出演はよく考えて
一時期は有名AV女優も出演していた無修正動画ですが、ここ数年はほとんどが無名のAV女優ばかりの出演作となっています。
これは大手AVプロダクションが無修正動画へAV女優を出演させなくなったためです。そのため、現在無修正動画に出演しているのは、AVプロダクション協会に加入していない、AVプロダクションの所属AV女優や、フリーのAV女優に限られているのです。
無修正動画の場合、通常のAV作品に比べると1.5倍ほどのギャランティ相場だそうですが、逮捕されるかもしれないというリスクを考えると、あまり魅力的だとも言えないでしょう。
逮捕された場合、本名は実際の年齢なども報道されることがあるというのも、AV女優にとっては厳しいところです。
もしも、無修正動画への出演という話が来たとしても、よく考えてから判断したほうがよいかと思われます。